平成22年度(2010) 試験 問13 | 中小企業診断士 経営法務
日本において設立された株式会社甲はヤングカジュアル衣類を製造販売する会社であるが、このたび、上海に主たる営業所がある中国の会社である会社乙と、会社乙がデザイン・製造したカジュアルジャケットαについて売買契約を締結しようとしている。
以上の事情を前提に、株式会社甲の代表取締役社長と中小企業診断士をめざしているあなたとの次の会話を読み、下線部①~④のあなたの回答のうち最も適切なものを下記の解答群から選べ。
社長:「今まで、わが社は国産にこだわってきたのだけど、最近、中国でも技術や質が上がってきているし、コストのメリットもあるしね。
だから、今度、縁あって、新規に中国の会社乙と契約しようと思っているんだよ。」
あなた:「それは、良かったですね。」
社長:「この会社は外国企業との取引に慣れているようで、契約書を提示してきたんだ。
中国語や英語はわからないといったら、契約書は日本語のものを持ってきてくれたよ。
でも、いろいろな面で取引を慎重に進めなくてはならないよね。
どんなことに注意したらいいのかな。
ぼくにとって海外取引は初めてだから、一般的なところから教えて欲しいんだ。」
あなた:「契約内容については、欠けているところがないか弁護士に聞いた方がいいですよ。」
社長:「そうだよね。でもね、たとえば、契約に規定していないことが起きたら、どうなるの。」
あなた:「①契約書には一般的に準拠法の定めがあるはずです。
それがない場合には、製品の買主側、すなわち、日本の法律が適用されることになりますよ。」
社長:「それと、価格の部分とかは後で決めるのでもいいのかなー。」
あなた:「②それでも良いと思います。
けれども、契約書で何も規定していない場合は、近年、日本でも発効した国際物品売買契約に関する国際連合条約に従って、運送費は買主負担になるので、運送費の負担方法だけでも契約書で規定していた方がいいと思いますよ。」
社長:「会社乙は営業所が大阪にあってね、ここで外国会社の支店の登録もして、日本向け販売の窓口になっているんだ。
ぼくたちはジャケットαに自社ブランドのロゴをつけて国内で販売する予定だけど、会社乙と日本で契約締結ということもできるのかなー。
あなた:「③会社乙日本支店の日本における代表者の名の下に、会社乙と国内で契約締結することも可能ですよ。
ただ、外国会社の支店といっても、本社から独立して法人格を有するわけではないので、結局、契約の相手方は会社乙ですけどね。」
社長:「ところで、万が一、相手方と裁判になったら怖いよね。
相手方を訴えるときは、中国でしないといけないのかなー。」
あなた:「④それは、裁判管轄の問題ですね。
ただ、契約上の裁判管轄がどこであれ、契約書が日本語であれば、日本で提訴することが可能ですよ。
でも、強制執行するときは、結局、中国まで行かなくてはならないから、中国で提訴するのと一緒ですね。」
下線部①
下線部②
下線部③
下線部④