平成16年度(2004) 試験 問4 | 中小企業診断士 経営法務
ある株式会社の代表取締役甲は、代金決済の見込がないにもかかわらず乙から多額の商品を買い入れ、その支払いのために同社を振出人とする約束手形を振り出した(以下「本件行為」という)。
その後その手形は不渡りとなった。同社には、甲の他に取締役として丙と丁がおり、取締役として単に登記されているだけで株主総会での選任決議を得ていない戊がいる。
このような場合の乙に対する丙、丁、戊の商法上の損害賠償責任に関し、以下の設問に答えよ。
(設問1)
次の文章の空欄A~Eに入れる語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
丙、丁については、取締役としての職務執行上 [A] があり、同職務執行と乙の損害との間に因果関系がある場合に損害賠償責任が発生する。
本件行為が取締役会の決議に基づいてなされた場合、決議に賛成した丙は [B] 。
決議に反対した丁は、 [C] 。
仮に丙が取締役ではあるものの全く名目的な存在で取締役としての職務を実際には行っていない場合 [D] 。
戊は [E] 。
A:過失
B:賛成という判断に過失があったかが問題とされる
C:免責される
D:でもそうでない取締役と同様の責任が問われる
E:乙が登記を信頼した場合には責任を負う場合がある
A:過失
B:賛成という判断に過失があったかが問題とされる
C:免責される
D:には免責される
E:乙が登記を信頼した場合には責任を負う場合がある
A:過失
B:本件行為を自らしたものとみなされる
C:議事録に異議をとどめなければ賛成したものと推定される
D:でもそうでない取締役と同様の責任が問われる
E:登記について承諾を与えていた場合は責任を負う場合がある
A:重過失
B:賛成という判断に重過失があったかが問題とされる
C:免責される
D:には免責される
E:乙が登記を信頼した場合には責任を負う場合がある
A:重過失
B:本件行為を自らしたものとみなされる
C:議事録に異議をとどめなければ賛成したものと推定される
D:でもそうでない取締役と同様の責任が問われる
E:登記について承諾を与えていた場合は責任を負う場合がある
この責任の消滅時効期間は3年である。
この責任は不法行為責任とは別個の特別な法定責任である。
中小企業におけるこの責任の追及は、法人格否認の法理の適用に代わる役割を果たす面がある。
取締役の選任決議も登記もなされていない事実上の取締役でもこの責任を負う場合がある。
本件行為について監査役も責任を負うときは、取締役との連帯責任となる。