前の問題次の問題

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

不動産販売を営むA社は、バブル期に行った開発事業が失敗し、不良資産を抱えていた。
さらに、デフレが進行するなか、A社を取り巻く経営環境は大きく変化し、過剰債務の解消が事業の継続のために不可欠な状況となった。
このような状況において、過剰債務の解消の一環として、A社はメインバンクに対し①債務免除を要請すると共に、②債務の株式化を要請した。
これに対し、メインバンクはA社の経営責任及び株主責任を明確にするため、経営者の交代及び減資を行うことを条件にA社の要請を受けることにした。
その後、A社は経営者が交代、新経営者は着任後まもなく『リ・スタート・プラン』を策定、公表し、その第一段階として、従来赤字の③ノンコア事業を分離することにより一層の過剰債務削減を図るとともに、コア事業に経営資源を集中することによって再建を図ることに着手した。

(設問1)
文中の下線部①の債務免除は、貸し手のメインバンクから見た場合債権放棄となるが、この債務免除及び債権放棄に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

選択肢 ア

会社更生法による更正計画の認可により切り捨てられることとなった金融機関の金銭債権は、税務上損金として取り扱われる。

選択肢 イ

金融機関が債権放棄をする場合、合理的な再建計画に基づくものと考えられ、税務上損金として取り扱われる。

選択肢 ウ

債務免除が必要となる場合には必ず欠損金があるので、債務免除益を形状した会社で課税所得が発生することはない。

選択肢 エ

民事再生法を申請した場合には債務免除益は非課税となる。

[出典:中小企業診断士 経営法務 平成16年度(2004) 試験 問18]

(設問 2)
文中の下線部②の債務の株式化に関する記述のうち、最も不適切なものはどれ か。

選択肢 ア

再建中の企業における債務の株式化は、過剰債務が削減され自己資本が増加することによりキャッシュ・フローが改善するため、債務者にとって有用な再建手法である。

選択肢 イ

債務者が第三者割当増資を行い、その払い込まれた現金により債務を返済することにより直接的に債務の株式化を行う場合と同様の効果が得られることがある。

選択肢 ウ

債務の株式化を行う場合には、優先株式が発行されることがある。

選択肢 エ

日本で債務の株式化を直接的に行う場合には、債権の現物出資とみて、現物出資の規定が適用される。

[出典:中小企業診断士 経営法務 平成16年度(2004) 試験 問18]

(設問 3)
文中の下線部③のノンコア事業の分離をする場合として、会社分割の手法を用いる場合あるいは営業譲渡の手法を用いる場合が想定されるが、それぞれの手法についての記述のうち、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a  会社分割は営業を包括的に承継させる手法であり、個々の財産等の移転手続が不要である。
b  会社分割を行う場合、税務上は資産及び負債を時価で譲渡することになり、譲渡損益が発生する。
c  営業譲渡の対価は株式であり、営業譲渡による資金の流入はない。
d  営業の全部または重要な一部の譲渡を行う場合には株主総会の決議が必要である。

選択肢 ア

aとc

選択肢 イ

aとd

選択肢 ウ

bとc

選択肢 エ

bとd

[出典:中小企業診断士 経営法務 平成16年度(2004) 試験 問18]

(設問 4)
事業再生の過程で、文中のA社のように経営組織を再編成することにより企業 の再建を図っていくケースが考えられるが、その再編成の手法のひとつに、商法 に規定された会社分割の手法を用いる場合がある。また、事業再生の過程では再 建計画の遂行上、施策実行のタイミングやスピードが要求される場合がある。上 記会社分割の手法に関して手続上の期間をできるだけ短くするという観点から記 載された下記の文章のうち、最も適切なものはどれか。

選択肢 ア

株主総会の招集通知の発送を、取締役会の決議により総会の会日の1週間前とすることができる。

選択肢 イ

吸収分割の場合で分割により発行する株式が発行済株式総数の20分の1以下であれば、商法第374条の23の定めにより分割会社も分割承継会社も簡易合併の手続によることになり、株主総会の承認を得る必要がなくなる。

選択肢 ウ

商法第374条の3の規定により反対株主の買取請求期間について裁判所の許可により短縮することができる。

選択肢 エ

新設分割の場合で発行する株式の全てを分割会社に割当て、かつ、分割会社が重畳的(併存的)に債務を引受ける場合において、商法第374条の4の定める債権者保護手続は不要になる。

[出典:中小企業診断士 経営法務 平成16年度(2004) 試験 問18]

解答

設問1
正解
難易度
取組履歴
ログインすると履歴が残ります
設問2
正解
難易度
取組履歴
ログインすると履歴が残ります
設問3
正解
難易度
取組履歴
ログインすると履歴が残ります
設問4
正解
難易度
取組履歴
ログインすると履歴が残ります
解説
この問題は解説を募集しております。
ログインすると解説の投稿・編集が可能となります。
個人メモ(他のユーザーからは見えません)
メモを残すにはログインが必要です
コメント一覧
  • まだコメントがありません
※ コメントには[ログイン]が必要です。