平成16年度(2004) 試験 問18 | 中小企業診断士 経営法務
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
不動産販売を営むA社は、バブル期に行った開発事業が失敗し、不良資産を抱えていた。
さらに、デフレが進行するなか、A社を取り巻く経営環境は大きく変化し、過剰債務の解消が事業の継続のために不可欠な状況となった。
このような状況において、過剰債務の解消の一環として、A社はメインバンクに対し①債務免除を要請すると共に、②債務の株式化を要請した。
これに対し、メインバンクはA社の経営責任及び株主責任を明確にするため、経営者の交代及び減資を行うことを条件にA社の要請を受けることにした。
その後、A社は経営者が交代、新経営者は着任後まもなく『リ・スタート・プラン』を策定、公表し、その第一段階として、従来赤字の③ノンコア事業を分離することにより一層の過剰債務削減を図るとともに、コア事業に経営資源を集中することによって再建を図ることに着手した。
(設問1)
文中の下線部①の債務免除は、貸し手のメインバンクから見た場合債権放棄となるが、この債務免除及び債権放棄に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
会社更生法による更正計画の認可により切り捨てられることとなった金融機関の金銭債権は、税務上損金として取り扱われる。
金融機関が債権放棄をする場合、合理的な再建計画に基づくものと考えられ、税務上損金として取り扱われる。
債務免除が必要となる場合には必ず欠損金があるので、債務免除益を形状した会社で課税所得が発生することはない。
民事再生法を申請した場合には債務免除益は非課税となる。
再建中の企業における債務の株式化は、過剰債務が削減され自己資本が増加することによりキャッシュ・フローが改善するため、債務者にとって有用な再建手法である。
債務者が第三者割当増資を行い、その払い込まれた現金により債務を返済することにより直接的に債務の株式化を行う場合と同様の効果が得られることがある。
債務の株式化を行う場合には、優先株式が発行されることがある。
日本で債務の株式化を直接的に行う場合には、債権の現物出資とみて、現物出資の規定が適用される。
a 会社分割は営業を包括的に承継させる手法であり、個々の財産等の移転手続が不要である。
b 会社分割を行う場合、税務上は資産及び負債を時価で譲渡することになり、譲渡損益が発生する。
c 営業譲渡の対価は株式であり、営業譲渡による資金の流入はない。
d 営業の全部または重要な一部の譲渡を行う場合には株主総会の決議が必要である。
aとc
aとd
bとc
bとd
株主総会の招集通知の発送を、取締役会の決議により総会の会日の1週間前とすることができる。
吸収分割の場合で分割により発行する株式が発行済株式総数の20分の1以下であれば、商法第374条の23の定めにより分割会社も分割承継会社も簡易合併の手続によることになり、株主総会の承認を得る必要がなくなる。
商法第374条の3の規定により反対株主の買取請求期間について裁判所の許可により短縮することができる。
新設分割の場合で発行する株式の全てを分割会社に割当て、かつ、分割会社が重畳的(併存的)に債務を引受ける場合において、商法第374条の4の定める債権者保護手続は不要になる。