平成25年度(2013) 試験 問10 | 中小企業診断士 企業経営理論
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
中小企業が同族経営である場合、戦略的問題に関する意思決定は創業者と創業者一族が中心となり、外部の利害関係者の影響力は限定的であることが多い。
老舗と呼ばれる中小企業B社は、代々受け継ぐ製法や技法による生産品を中心にリピーターとなる顧客の支持を得ている。
株式上場はしていないがその検討をしており、諸外国のガバナンス機構も調査している。
創業以来の歴史では、創業者の選択した戦略的な問題の解決法が効果を発揮してきたため、その解決法が常套手段として繰り返し用いられて組み込まれている。
創業以来の歴史において、外部から導入した製造プロセスの改良技術に基づき、技術関係部門同士の連携による問題解決が定型化されている。
創業以来の歴史において、外部から招いた人材のほとんどは意思決定プロセスに同化し、創業者一族の戦略を十分に理解するようになった。
創業者とその一族の経験した過去の事業戦略の成功が、現在の戦略上の失策の原因になっているのに、誰も認めようとしない。
組織として確立した問題解決法は、創業者の意向を大きく反映したものであり、特定の問題解決や特別任務の遂行への対処が求められた創業期に生まれている。
B社のような同族経営では、株式公開によって事業規模の拡大とともに株式の分散化が生じ、創業者一族の影響力が低下し、機関投資家などの比重が高まることを懸念する場合が多い。
アメリカ型のガバナンスにならった改革では、社長の権限の分散と牽制が鍵であり、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の設置などが企図されている。
多くの株主が株式を手放すことで経営者責任を問い、経営者を交代へ追い込むウォールストリートルールは機関投資家が多くの株式を所有する現実の下ではほとんど期待できない。
現在の会社法の委員会設置会社制度で業務遂行を委ねられる執行役員は、代表取締役の指揮下で業務執行の一部を担当する。
ドイツ型のガバナンスでは、株主総会で選出された株主と労働者の代表からなる監査役会が最高決定機関として取締役の任免と監督を行うが、形式的には株主と労働者が主権を分かち合っている。