平成25年度(2013) 試験 問27 | 中小企業診断士 企業経営理論
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
ある金曜日の夕方、機械部品メーカーの2代目経営者のYさんは取引先とのミーティングを終えると足早に家電専門店チェーンの大型店舗に立ち寄った。
この店舗は駅に隣接したショッピング・センター(SC)のテナントとして出店している。
Yさんは、取引先が国際展開をしていることがきっかけで自社の創業以来はじめて海外市場へのアプローチに着手した。
海外エージェントとのリアルタイムの会議を円滑に行うために、翻訳機能付きの電子手帳の購入を検討している。
メールをあけてみると、数日前にYさんがスマートフォンを使ってこの小売業者のウェブ店舗で検索し、「お気に入り(bookmark)」に登録していた電子手帳の詳細情報が記載されている。
また、このSC内店舗での売場の位置と①実際にこの商品を購入し、使用している消費者によるレビューが紹介されている。
メールを見ながら売場に移動し、この電子手帳を手に取ってみるとYさんが今必要としている機能が満載の商品であることが分かった。
Yさんは、早速この電子手帳をスマートフォンサイト経由で注文し、クレジットカードで決済した。
また、このネットショッピングで②Yさんは購入額の10%のポイントを獲得した。
YさんはSC内の家電専門店チェーンの店舗に立ち寄った際にこのチェーン のウェブ店舗からeメールを受け取ったことで、AIDMAでいえばM (Memory)にあたる内容を活性化することができた。
Yさんは金曜日の夕方にSC内の家電専門店チェーンの店舗に立ち寄る前 に、このチェーンのウェブ店舗で翻訳機能付きの電子手帳を網羅的に検索して いたので、買い物出向前に明確なブランド選好マップが形成されていたとい ってよい。
Yさんは店頭で受け取ったeメールを読むとすぐさま商品関連情報を検索 し、電子手帳の購買にいたる意思決定を行った。この一連の流れの中でYさ んはコミュニケーションに対する消費者の反応(購買)プロセスモデルのひとつ であるAISASに含まれるすべてのステップを踏んでいたといえる。
今回のYさんの電子手帳の購買プロセスの一部にも見られたような、「実際 の店舗で商品の実物展示を体験してから、より低い商品価格と消費者費用で同 じ商品を購入することができるウェブ店舗を探してそこで購買を行う」タイプ の行為は一般にブラウジング(browsing)といわれている。
Yさんが最終的に電子手帳を購入した家電専門店のウェブ店舗では、購入後の返品・交換時の送料や手数料を無料にするサービスを提供している。このサービスは消費者の認知的不協和をできる限り軽減・解消することを意図したものであるといえる。
一般に消費者は満足時よりも不満足時に多くの口コミを行うといわれている。とくに消費者による熟知性が高いブランドでは、ネガティブな口コミによって消費者の購買意図が顕著に低下する効果が見られるため注意が必要である。
高水準の顧客満足が実現すると既存顧客の忠誠顧客化による反復購買が行われるようになるだけでなく、満足顧客による口コミが新規顧客の獲得を支援するようになる。新規顧客獲得費用は既存顧客の維持費用よりも一般的に低いため、企業は積極的に優良顧客による口コミの影響を活用することが望ましい。
顧客満足の理論によれば、顧客満足・不満足の程度は事前の期待度とは関係なく、対象商品の品質の良しあしの水準によるという点が強調されている。
1970年代までは日本のメーカーにおいてSP費が広告費を上回る状況が続いていたが、この30年間に数多くの企業がグローバル企業へと成長したこともあり、両者の比率が逆転している。
Yさんが以前に同じ家電専門店チェーンの実店舗でスマートフォンを購入した際、専用ケースをおまけとして受け取った。この種のSPは長期的なブランド忠誠の醸成を支援する効果を持つ。
購買金額の一定割合が付与されるポイントサービスは、主として将来の値引きを約束するSPであり、顧客の再来店を促す役割を果たしている。
メーカーによるインセンティブは消費者のみをターゲットとしており、具体的な活動には特売価格の提供、景品コンテスト、サンプリング、POP広告などがある。