平成24年度(2012) 試験 問9 | 中小企業診断士 企業経営理論
アライアンスやアウトソーシングに関する次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
企業を取り巻く環境は、グローバル化や先端技術の開発の進展などに伴って、かつてない要因をはらみながら激しく変化している。
このような環境の変化に対応すべく、企業は他の企業や関係機関と連携を模索することが多くなり、戦略的にアライアンスを組む事例も報道されるようになっている。
しかし、アライアンスが意図した成果を実現するには、相手をどう選ぶかにも増して、①アライアンスのマネジメントが重要であることを見落としてはならない。
他方、市場を通じて業務の外部化を図るというアウトソーシングも頻繁に実施されるようになった。
何をアウトソーシングするかの検討は慎重でなければならないが、②委託者と受託者の関係についても注意しておくべきであることは指摘するまでもない。
相手を上回る出資比率を維持して、意思決定の権限を確保することに留意して、それができない場合はアライアンスを見送るようにしなければならない。
互いに連携によって得られる便益とそのために必要な費用を計算すると、信頼が醸成されなくなるので、アライアンスは期待した効果を生みにくくなることに注意しなければならない。
提携企業間の人事施策、組織の特性、経営上の価値観などの社風の違いは、相手企業を吸収合併して価値観の一体化を促すことによってしか克服できないことに注意しておくべきである。
連携が長くなるにつれて互いに心が通い合い信頼が醸成されやすいが、そのことによって取り引きの経済評価が甘くならないように注意しなければならない。
連携の中身やお互いの能力について理解しあうことは重要であるが、手の内を見せすぎることになるので、関係が深くなることは避けなければならない。
アウトソーシングの受託者が多くなるにつれて、利害関係や連携方式が複雑になるので、アウトソーシングの調整を担当する部署を設けて機敏な対応を確保するべきである。
アウトソーシングの主たる目的である相乗効果や新規事業の創造に結びつくには、実務レベルでの密な意見交換や共同事業を推進するべきである。
自社能力の強化に振り向ける資金とアウトソーシングに伴う費用の負担と便益を比較することで、アウトソーシングに踏み切るかどうかの判断をするべきである。
受託者の能力不足や非協力的な態度が判明した場合、アウトソーシングの解消や違約による損害賠償を視野に入れてアライアンスの解消を検討するべきである。
独自な能力をもつ受託者からは、共同事業を通じてその能力を学ぶ姿勢をもつように連携関係を強化するべきである。