平成23年度(2011) 試験 問7 | 中小企業診断士 企業経営理論
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
単一の事業を営む企業が多角化によって事業構造を変革し、持続的な成長を実現する行動は、「範囲の経済」の視点から説明できる。
「範囲の経済」が存在すれば、企業が複数の事業を展開することによって。
それぞれの事業を独立に営むときよりも、より経済的な事業運営が可能になる。
(設問1)
文中の下線部に関する以下の文章の空欄A~Cにあてはまるものの最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
2つの製品の生産量をそれぞれ x1、x2で表し、その費用関数をC(x1, x2)で表したとき、「範囲の経済」の関係は以下のように示すことができる。
C(x1, x2) [A] C(x1, 0) [B] C(0, x2)
この関係が成立すれば「範囲の経済」が存在する。
この式のC(x1, x2)がx1、x2を同時に生産、販売するときの [C] )であり、C(x1, 0)が第1製品だけを生産、販売するときの [C] 、C(0, x2)が第2製品だけを生産、販売するときの [C] である。
A:>
B:+
C:総費用
A:>
B:-
C:平均費用
A:<
B:-
C:総費用
A:>
B:+
C:平均費用
A:<
B:+
C:総費用
2つの事業がお互いに補い合って1つの物的資源をより完全に利用して生まれる効果は、範囲の経済の効果である。
2つの事業がお互いに情報的資源を使い合うと、資源の特質から使用量の限界がなく他の分野で同時多量利用できるため、物的資源を使い合うよりも効率性の高い範囲の経済を生み出せる。
合成繊維企業が蓄積した自らの化学技術を使用し、本業の補完・関連分野の事業に進出するのは範囲の経済の例である。
範囲の経済が生まれるのは、基本的には未利用資源の活用が原因であり、企業規模が大きいほど経済効果が良くなることを意味する。
範囲の経済は、多角化が進みすぎると新たに進出した事業と企業の保持しているコア・コンピタンスとの関連性が希薄になって生じなくなる。