平成22年度(2010) 試験 問11 | 中小企業診断士 企業経営理論
特に二酸化炭素の排出量が問題となっている産業では、企業は②二酸化炭素の排出を削減したりエネルギー消費を抑える技術の開発に熱心である。
一般に排出量取引のコストは環境技術やシステムの開発コストより低いため、排出量取引が選考されて、温室効果ガスの排出削減が進まないことが懸念されている。
開発途上国の企業は先進国が開発した環境技術を導入することで、その開発コストを負担しないですむため、先進国と開発途上国の間でコスト負担にインバランスが生じることになる。
日本では排出量取引は全産業を対象にして自主参加型のものが試行されている段階である。
排出量取引では、排出量を排出枠内に抑えて発生した余剰(炭素クレジット)を、排出枠を超えて排出してしまった国が買い取れば、排出枠を遵守したと見なされる。
2009年4月に開始されたエコカー減税は、特例措置として低燃費・低排出ガスを設定された自動車の取得税や重量税に減免措置が適用されるので、自動車メーカーにはエコカー開発のインセンティブになっている
2009年5月に開始された家電エコポイントは、企業に対してグリーン家電の開発を促し、消費者には購買意欲を駆り立てている。
2次電池の開発に取り組んでいる企業では、電極のレアメタルの高騰が電池価格に反映することが隘路のひとつになっている。
電気自動車は構造が比較的単純であるので、充電システムについては自動車業界で統一した方法が確立している。
バイオ燃料は環境配慮型エネルギーとしてトウモロコシや大豆、菜種などから代替燃料が開発されており、欧州ではバイオディーゼルにも使用されているが、ディーゼル車が普及していない日本ではそのようなディーゼルの開発は低調である。
各種のリサイクル法が制定されるにつれて、容器包装、家電、建設資材、食品、自動車などの再商品化や解体リサイクルに新規参入の機会が生まれ、静脈産業にベンチャー企業が誕生している。
古紙などの回収資源は天然資源に対して価格競争力をもっているので、古紙回収事業に多くの中小事業者が新規に参入している。
資源循環型社会のエコタウン事業では、ゼロ・エミッションを目指して、各地の特性を活かして誘致企業とともにリサイクル技術の開発を進めている。
消費者のエコ意識とともに製品の安全性への関心が強くなるにつれて、安くても安全性に疑念がある製品よりも少し高くても信頼できる製品を求める傾向が見られ、生産技術の確かな中小企業にビジネスチャンスが生まれる例が見られる。
リサイクル企業には貴金属鉱石よりも含有率が高い破棄家電等からレアメタルを抽出する独自技術を工夫する例があり、都市からレアメタルが生産される様を都市鉱山ということがある。