平成22年度(2010) 試験 問13 | 中小企業診断士 企業経営理論
あなたがコンサルタントとしてアドバイスしている家庭用品メーカーA社には、以下のような特徴がある。
これを読んで下記の設問に答えよ。
A社は40年の歴史があり、主力事業は既に成熟期に入っていて、その事業を展開する部門では安定的な利益率を確保していた。
社員は部品レベルでの品質改善に取り組んでおり、皆忙しいと言っているが、市場シェアはほとんど変わらない。
全体的に現状に満足している社員が多く、職場は比較的和気あいあいとしている。
社長が主力事業部の従業員を活性化しようと、工場やマーケティング部門に権限を委譲し、生産コストや市場シェアによって評価する人事管理システムを導入した。
しかし、①その結果、市場シェアは増大したが、歩留りが悪化し、利益率は低下してしまった。
この事業部が扱う家庭用品市場がすでに成熟しており、価格競争でしかシェア拡大が難しくなっていたため、コスト削減をトップが指示した可能性があるから。
事業部によって異なる目標管理制度が導入されたため、当該事業部の従業員が公平性を欠くと認識しこれに反発した可能性があるから。
市場シェア目標やコスト管理目標が、事業部の投資利益率目標とは連携していても、A社全体の利益率目標と合理的に連携していなかった可能性があるから。
市場シェア目標を達成するために、マーケティング部門は価格を低く設定し、その結果、販売数量が増加し、生産部門はコスト管理を徹底したために品質を犠牲にすることになった可能性があるから。
市場シェアや生産コスト管理のような、成果主義による管理方針に対して、従業員が反発した可能性があるから。
従業員の間で意思決定権限が細分化されており、多くの管理者の同意を得なければならない可能性があるから。
従業員の業績評価システムが、ミスや失敗による減点方式になっている可能性があるから。
従業員の職務と責任・権限が、会社の利益と関係づけて理解されていない可能性があるから。
主力事業部の規模や資産等のスラックが大きく、従業員が市場における変化や競争圧力を感じにくくなっている可能性があるから。
新規事業開発についてミドルマネジメントに十分な権限を委譲していないため、彼らの知識創造力を十分活用できていない可能性があるから。
市場の動向に関する情報をもつ現場の従業員に権限を与え、ボトムアップで変革案を作成させる。
従業員に業績連動型の報酬制度を導入し、企業の利益と職務の関係を明確にする。
中間管理職に権限を委譲し、彼らの自主性を重視したチーム運営ができるようにする。
中間管理職を横断する組織を作って、合議による変革プランを作成させる。
トップマネジメントによる方針決定と執行担当管理者の意思決定権限の所在を明確に定義する。