平成20年度(2008) 試験 問11 | 中小企業診断士 企業経営理論
企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functionalorganization)、事業部制組織(divisionalorganization)、マトリックス組織(matrixorganization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。
これに関して、下記の設問に答えよ。
(設問1)
機能別部門組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
機能別部門組織では、各機能部門が専門機能を基礎に編成されているため、全社的なコントロールを担当する次世代のトップマネジメントを養成することが難しい。
機能別部門組織では、高度な分権化が進展しているため、トップマネジメントへの集権化の程度は低い。
機能別部門組織では、それぞれの部門が異なる機能を担当しているため、変化する環境でも部門間コンフリクトが発生する可能性は低い。
機能別部門組織の利点は、機能部門ごとの専門化の利益を最大限に発揮できる点にあり、その分、規模の経済は犠牲になる。
機能別部門組織は、単一製品−市場分野に進出している企業に採用される傾向が高く、あまり大規模な操業には適さない。
事業部制組織では、各事業部は独立採算のプロフィットセンターとして管理されるために、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発などは遅れがちになる。
事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機能のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。
事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり、一般に各事業部の限界利益に応じて予算配分が行われる。
事業部制組織は、複数の製品-市場分野に進出している企業に採用される傾向が高く、事業部間の高度な連携をとることが容易になる。
事業部制組織は、本社の情報処理負担が軽減されるとともに、事業戦略に関する権限が本社に集中するために、事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造しやすくなる。
マトリックス組織が有効に機能するためには、複数の命令系統に柔軟に対応し、コンフリクトを創造的に解決する組織文化の裏付けが必要である。
マトリックス組織では、機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限を持つので、従業員は2人の上司の管理下におかれ高いストレスを感じる。
マトリックス組織では、主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネジャーのコンフリクトが発生しやすいので、トップマネジメントの情報処理負担は大きくなる。
マトリックス組織は、環境変化の速い複数の非関連事業に多角化した企業が、複数の事業部にまたがる横断的調整機能を導入したものである。
マトリックス組織は、現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業活動を制約してしまうため、主に本社機構に導入される傾向がある。