平成19年度(2007) 試験 問19 | 中小企業診断士 企業経営理論
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
A社は産業用中間財部品を生産する中規模の企業で、機能部門別組織構造を採用している。
売上高・利益率ともに、2年連続して低下してきたため、コンサルタントに調査・分析を依頼した。
コンサルタントのヒアリングに対し、A社の社長や各部長は次のように答えたという。
社 長:「年度計画や中期計画を策定することや財務管理の機能については私が責任を負っているが、技術革新の速度も比較的速く、顧客企業の要求もさまざまであるために、基本的に部長たちに事業に関する権限のほとんどは委譲している。
各部門間の調整は、毎週の業務報告書と電話で行っているはずです。」
研究開発部長:「わが社の技術力は比較的高く、技術者はそのことに誇りを持っている。
技術はある程度速く変化しており、開発した製品に自信はあるが、最近営業部門から顧客ニーズに関する情報が入ってこなくなっている。業績悪化の原因は営業力の弱さにあるのではないだろうか。」
製 造 部 長:「工場のものづくり能力は同業他社に比べて高いと思います。
不良品の率も低いし、製造原価も最低限に抑えています。しかし、研究開発部門から提案される製品が、なかなかそのままでは量産できなかったりするので、しばしばこちらで若干のデザイン修正を行う必要があります。」
営 業 部 長:「営業部門の社員はよく働いています。
お客様のニーズに合わせて勤務時間外の労働もいとわない者たちです。お客様には、わが社の製品は技術的には品質も優れているとは言われるのですが、価格が高すぎるところと、新製品の開発が他社に比べて若干遅くなる点が弱点ではないでしょうか。」
(設問1)
このヒアリングから判断して、A社の組織をどのように分析するか。
最も適切なものを選べ。
選択肢 ア
各部門に暗黙知を蓄積するメカニズムがないため、知識創造が適切に行われていない。
選択肢 イ
各部門のコスト意識が低いため、利益率が低下している。
選択肢 ウ
各部門の専門能力は高いものの、それが「訓練された無能(skilledincompetence)」につながり、シングルループ学習が促進される組織文化になっている。
選択肢 エ
官僚制的組織文化が形成されてきており、部門間の壁が高くなってしまっているため、部門間調整が十分にできていない。
選択肢 オ
研究開発部門や製造部門に比べて、営業部門の営業力が弱く、収益性の低下につながっている。
[出典:中小企業診断士 企業経営理論 平成19年度(2007) 試験 問19]
(設問 2)
このヒアリングからみて、A社の組織改善の方向性をどのように判断するか。最も適切なものを選べ。
選択肢 ア
各部門の情報共有を促進し、社長を含め部長たちが直接会合などで意見交換できる機会を増やす。
選択肢 イ
研究開発部門と製造部門の従業員を若干減らし、営業部門の人員を強化する。
選択肢 ウ
事業部制組織を採用して、より分権化を促進し、PPMなどを通じて財務管理を強化する。
選択肢 エ
社長に権限の多くを集中し、中央集権的に部門間調整ができるようにする。
選択肢 オ
社内に電子メールシステムなどを導入し、直接会わなくても、情報の交換ができるようにする。
[出典:中小企業診断士 企業経営理論 平成19年度(2007) 試験 問19]
解答
設問1
正解
ウ
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設問2
正解
ア
取組履歴
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