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次のショートケースを読んで、下記の設問に答えよ。

創立50年を迎えたX社は、従業員150人のうちの6割が研究者によって占められており、終身雇用・年功序列の賃金制度を採用していながら自由な雰囲気を持つ企業であり、中規模の研究開発型企業として一定の評価を得てきた。
大株主であるY社はX社により高い配当を求め、定例の株主総会での議決を経て、新経営者A氏を送り込んで経営改革を行うよう指示してきた。
A氏はY社への高配当を目的とし、着任後半年間で同業他社の状況を参考にして、マーケティング重視とコスト削減の経営方針を打ち出し、研究開発部門の研究費を2割削減した。
研究者に商品化可能な製品開発を中心とした評価制度を導入し、業績主義の人事改革プログラムを提案した。
新たに若い営業要員を数名採用し、10人の取締役会メンバーのうちそれまで2人だった営業部門出身者を4人に、一方、4人いた研究開発部門出身者を1人とした。
この取締役会を中心に、社内の管理システムや業務手続きに関する諸規則を、トップダウンで次々と変更していった。


その結果、わずか1年で研究者の多くはモチベーションを低下させ、優れた人材の3割程度は退職してライバル企業に移籍してしまった。
また研究開発以外の部門も新しい管理システムの導入により、現場に混乱が生じてしまい、製品の信頼性が低下し、顧客からの苦情も寄せられるようになってしまった。

(設問1)
新経営者A氏は、経営改革案を作成する際に、どのように行えば良かったのであろうか。
次のうち、最も不適切なものはどれか。

選択肢 ア

経営改革案の作成段階に研究者を入れると改革そのものに反対する可能性があるので、マーケティング部門および財務部門の代表者をより多く取締役会のメンバーにし計画を作成する。

選択肢 イ

経営改革案を作成するために、取締役会の下に部門横断的な変革推進タスクフォースを設置し、従業員が自由に議論できる組織を構築する。

選択肢 ウ

全従業員からアイデアを募りながら、経営改革案の作成にもう少し時間をかけ、変革のマイルストーンを定めるとともに、従業員が変革の進行プロセスを十分認識できるようにする。

選択肢 エ

同業他社の調査とともに、社内の現状調査を行い、従業員の士気や成果に影響を及ぼす要因を識別し、それに対応した具体的な行動計画を作成する。

選択肢 オ

なぜ経営改革を行う必要があるのか、経営改革を行わないと将来どのような問題が発生してしまうのかを全従業員に直接語りかけ、改革の必要性を理解してもらう。

[出典:中小企業診断士 企業経営理論 平成18年度(2006) 試験 問15]

(設問 2)
経営改革案の実施段階で、新経営者A氏が行うべきであった方策として、最も不適切なものはどれか。

選択肢 ア

経営改革が従業員にとって望ましいことを説得するために、従業員のニーズや個人的目標を把握し、それらとの整合性をできる限り確保するよう努める。

選択肢 イ

従業員が経営改革の進展とともに自らの新しい役割を理解し、それを実行に移せるよう十分なトレーニング・プログラムを準備する。

選択肢 ウ

従業員の間に誤った噂が広がったり、誤解が生じないよう、従業員と十分なコミュニケーションをとるとともに、社内のインフォーマルなコミュニケーション・チャネルをモニターしながら変革を進める。

選択肢 エ

大株主からの支持を十分取り付けるためにIR活動を積極的に進めるコミュニケーションをとるとともに、従業員に変革の内容を外部から知らしめるよう利害関係者やマスコミへの情報をコントロールする。

選択肢 オ

部門横断的な変革実施プロジェクトチームを構成し、移行プロセスを管理するとともに、変革が逆行しないよう段階的な確認と統制を行う。

[出典:中小企業診断士 企業経営理論 平成18年度(2006) 試験 問15]

解答

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設問2
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