平成16年度(2004) 試験 問36 | 中小企業診断士 企業経営理論
百貨店や繁華街には、いわゆる有名ブランドショップが多数みられる。マーケティングにおいては、いわゆる有名ブランドだけがブランド政策の対象ではなく、ブランドのついたものはすべてその対象となる。したがって、①ブランドの種類はいくつもある。ブランドを保有管理する事業者に注目すると、ブランドは製造業者だけではなく、流通業者も保有管理している。後者のことを②プライベート・ブランドということがある。また、ブランドそのものがM&Aなどの形で売買の対象となることもある。マーケティングを遂行する上で、近年、特に③ブランド価値が注目されている。
(設問1)
文中の下線部①のブランドの種類に関して、ブランド・ネームのつけ方にはいろいろな方式がある。これに関する説明として最も適切なものはどれか。
企業名と個別ブランドを組み合わせる方法では、新商品であっても個別ブランド部分でその商品の信用を示すことができ、市場浸透を容易に行うことが可能である。
個別ブランド・ネームは、既存の商品で培ってきたブランド・イメージを活用して、例えば低価格市場といった新しい市場に進出する時などに利用される。
統一ファミリー・ネームとは、あらゆる商品に対して同じブランド・ネームを採用することである。過去の製品によって、顧客はすでにある程度ブランドに関する情報を得ているので、その商品の仕様を訴求するためのプロモーション・コストが節約できる。
複数ファミリー・ネームは、多様な商品を扱っている場合において、市場セグメントなどに応じてファミリー・ネームを複数使用することである。消費者は、製品の位置付けを理解しやすく、商品選択が容易になる。
小売業は、ナショナル・ブランドを低価格で販売することが容易なときに、その低価格を際立たせるために、プライベート・ブランドを導入することになる。
生産者は、他のチャネル・メンバーのことを配慮するので、ある水準以下の価格の製品にプライベート・ブランドを設定するのは困難である。
プライベート・ブランドは、生産者が行っている製品の仕様開発を小売業がすべて独自に行い、製造を委託するものである。
プライベート・ブランドは、生産者に生産力の余剰がある場合に導入されやすく、そのためにより低価格が達成できる。
プライベート・ブランドを導入することによって、低価格訴求のイメージがついてまわるので、高付加価値の商品には導入されない。
価格競争が発生しても、そこに巻き込まれにくい。
高品質のイメージによって、高価格を設定できる。
顧客のもつブランドへの期待を利用して、流通チャネルへのプル戦略が成功しやすい。
他の製品グループに新たに進出するときに、ブランド拡張しやすい。
ブランド・ロイヤルティが高まるにつれて、マーケティング・コストをかける必要が低くなる。