平成15年度(2003) 試験 問15 | 中小企業診断士 企業経営理論
組織変革のプロセスにおいては、現在の状態から望ましい状態への移行過程を適切に管理する必要がある。
この移行過程のマネジメント(transitionmanagement)においては、変革に対する「抵抗」、変革に伴う「混乱」、変革をめぐる「対立」など様々な問題が生じる可能性がある。
これらの諸問題に関する、以下の設問に答えよ。
(設問1)
組織変革における移行過程の「抵抗」問題に関する記述として最も適切なものはどれか。
組織成員がこれまで蓄積してきた経験や技能を無にしてしまうような変革案は、移行過程において抵抗を生みやすく、望ましくもない。
組織変革における移行過程で、従業員が抵抗することは、その変革案に問題があることを意味するので、すぐに変革案を修正すべきである。
組織変革の結果、新しい組織でどのような部署に所属するのか、どのような権限を持ち処遇されるのかは、組織成員それぞれの生活にかかわることなので、変革の初期段階では伝えるべきではない。
抵抗を避けるには、組織成員に、新しい組織に適応するための十分な教育・訓練の時間と機会が提供される必要がある。
変革に対して不安や抵抗が生まれないよう、組織変革は推進者以外に公開せず一気に進めることが望ましい。
経営資源に恵まれない中小企業は各種の支援や保護がなければ独自な発展をたどれなかった。
下請中小企業と親企業との間の経営格差が顕著であった。
衰退業種の中小企業のための工業団地は産業集積の契機であった。
中小企業は大手企業に比べて技術的にも経営的にも近代化が遅れていた。
組織変革によって影響を受ける人々を、あまり早い段階から変革過程に参加させると、無用な混乱を生む可能性があるので避けることが必要である。
組織内の下位集団間に対立が見られる場合、外部環境の脅威など組織外部に共通の敵をつくることで、協働を生み出すことができる場合がある。
組織内の下位集団間に対立が見られる場合、それぞれの集団のリーダーに問題があることが多いので、そのようなリーダーを組織から排除すべきである。
組織における中心的な権力集団の存在は、大きな抵抗勢力となりやすいので、それらからの協力の確保は政治的駆け引きを生みやすく避けるべきである。
組織変革における移行過程で対立が生じる原因は、変革の方向を自己に有利なように導こうとする人々がいるからであり、そうした人々は直ちに処分しなければならない。
組織変革における移行過程では、株主や労働組合は対立しやすいので、変革計画の策定にこれらの代表者を参加させることは好ましくない。