平成17年度(2005) 試験 問32 | 中小企業診断士 中小企業経営・政策
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
毎年10月になると年末資金の不足が予測され、資金手当てのために早めに銀行に借り入れを依頼する、というA社の経営診断を行うことになった。
A社は洗剤、トイレタリー商品など日用雑貨品を扱う中小問屋であり、取扱商品は約5,000種、年商30億円、地場の中小商店を中心に得意先約300社、社員数20人で、創業40年を越える企業である。
近年、取扱商品を積極的に増やしているものの、売上高はここ数年伸び悩んでいる。
また、取引先1件あたりの売上高は減少傾向で、懸命に新規開拓を行っているが、取引金額は小口化傾向にある。
取扱商品の増加に伴って仕入先も増える傾向にあるが、取引額が小さいため価格交渉ではかなり苦労している。
季節商品や贈答用セット商品など、取り扱う日用雑貨品の品種は増大の一途であり、棚札管理を行っている倉庫の在庫管理がついていけない。
このため、ピッキングにはかなりの時間を要することもある。
月次の帳簿上の在庫は把握できているものの、商品アイテム別管理データは100ページにも及び、在庫の動きが的確に把握されていない。
(設問1)
毎年末に繰り返される資金不足を回避するための基本的な対策を、中小企業診断士は求められた。
A社がおかれている状況からみて今後、年末の資金繰りを容易にするための対策として、最も適切なものはどれか。
売掛金による信用取引を拡大して、新規開拓をさらに進める。
商品在庫を削減するため、先入れ先出しを徹底して行う。
すべての仕入先に対して代金の支払サイトを長期化する。
倉庫の在庫商品を詳細に分析してデッドストックを処分し、動きのある商品在庫に絞り込んだ購買管理に取り組む。
売れ筋商品情報や、売上が増大している成長店などの情報を得意先に提供する。
得意先に対して、量販店よりも低価格で販売できるように卸売価格を引き下げる。
得意先の経営者に対して、経営の研修会を定期的に開催する。
得意先の販売促進や広告活動に対する支援を行う。