平成17年度(2005) 試験 問36 | 中小企業診断士 中小企業経営・政策
A社は、創業20年を迎え、業容としてはベビー用品の製造販売を行っている、従業員100名の企業である。
工場を所有しており、2交代制の稼働で運営している。
ベビー用品は、主力商品としてマグカップを扱っており、それ以外にはベビー用食器などを取り扱っている。
実際に工場で製造しているのは、オリジナルデザインのマグカップである。
最近、A社の売り上げが徐々に減少してきた。
その理由として、大手メーカーが、子供の成長に合わせた利用方法ができる、つまり、ほ乳瓶とマグカップの2つの機能性を保有したマグカップを市場に投入したこと、A社の商品のデザインが古いこと、安価な外国製品が出回っていること、などが挙げられる。
このままでは、従業員に対して十分な給与を支払えるだけの売り上げを確保することができないことは、明らかな状況になってきていた。
会社の雰囲気はとても家庭的で、過去における経営の危機も人員整理など一切せずに乗り切ってきたため、今回も社長のB氏は同様に考えていた。
このような状況の中、B社長は、商社を通じて有名キャラクターの使用権取得に動いていた。
また、安全性の高い、環境に配慮した材料での商品開発を進めていた。
それらがほぼ可能になった段階で、B社長は、今後の方策を中小企業診断士に相談することにした。
相談を受けた中小企業診断士が実行するコーチングとして、最も不適切なものはどれか。
次のように、GROWモデルを活用した。「社長としては、売り上げを確保し、今回も人員整理をしたくないというお考えなのですね。ここで、現状を整理してみませんか。」
次のように、肯定的質問により社長の考えを引き出した。「商品開発をうまく進めるためには、社長としてはどの点が重要だとお考えですか。」
次のように、助言をした。「私は過去の経験から人員整理をすべきと診断します。パート社員の減員を助言します。」
次のように、要約と整理をした。「大変貴重なお話をありがとうございます。つまりは、新しい素材を使い、安全、環境に配慮した商品開発をされたいということですね。」