平成22年度(2010) 試験 問29 | 中小企業診断士 企業経営理論
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
新興のデザイン家電メーカーX社は、パソコンの基幹部品の標準化・汎用化が高度に進み、消費者のパソコン使用経験が深まっている現状を潜在機会としてとらえ、革新的な製品によるパソコン市場への参入を計画している。
ただし、パソコン市場を概観すると製品ライフサイクルの成熟化段階に達しているため、同社の新製品開発に先駆けたマーケティング計画の策定段階では、構想力に満ちた魅力的な製品コンセプト・アイデアの創出に加え、①消費者の知覚の立場からの市場分析が重要な課題となる。
そこで同社は、社内の関連部署のスタッフによって構成されるブランド・チームをつくり、②製品(ブランド)ポジショニングに関する検討を行っている。
(設問1)
文中の下線部①に関する以下の文章の空欄A~Cにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。
知覚品質とは、消費者が [A] にとらえる品質のことである。
消費者が高品質を知覚する製品は、その品質連想によって価格 [B] が生み出されるため、その価格を下げたとしても需要数量に大きな変化が生じないことがある。
このことは同製品の需要の価格 [C] が小さい状況を意味する。
また、同種製品市場で事業を展開する他社が類似製品の値下げを行ったとしても、同製品の需要数量に大きな変化が生じないことがある。
これは、同製品の交差(交叉) [C] の低さを示しているといえる。
A:社会的
B:エクイティ
C:弾力性
A:主観的
B:ノベルティ
C:有効性
A:主観的
B:プレミアム
C:弾力性
A:主体的
B:レバレッジ
C:有効性
A:能動的
B:レバレッジ
C:差別性
市場が成熟し、ひとつの製品市場に多くのブランドが登場するようになると、競争関係にあるブランドの製品との [A] を保ちながら、多くの消費者の [B] に近接したポジションを見出すことは難しくなる。
つまり、有効な [C] を行うことのできるブランド・ポジショニングが、ますます困難になるということである。
このような状況を打開するためには、 [D] の活用が必要になってくる。
A:カテゴリ同調性
B:カテゴリ認識点
C:市場細分化
D:製品差別化
A:関連
B:欲求充足点
C:製品差別化
D:ライフスタイル・セグメンテーション
A:競合性
B:関与増加点
C:顧客指向化
D:機動的な営業力
A:距離
B:欲求理想点
C:製品差別化
D:市場細分化
A:類似性
B:カテゴリ認識点
C:市場細分化
D:異質需要に関する知識
なお、図中の小さな四角(■)は消費者の選好分布を、白抜きの大きな四角(□)は、他のメーカーによる既存製品のポジショニングを示している。X社が開発を検討している製品が想定するポジショニングは図中の大きな丸印(○)によって表示されている。図中の縦軸はマルチメディア対応度の高低を、横軸は本体サイズ(本体を設置した時の容積)の大小を指している。
X社が開発を検討している製品はインテリア性が高く、家庭のリビング ルームに設置し、テレビの地上デジタル放送の視聴や音楽ファイルの再生、 電子マネーをつかったインターネット・ショッピングが可能なだけでなく、 仕事や勉強にも快適に活用できるスペックを備えている。
X社のポジショニング計画は、いわゆるブルー・オーシャン(Blue Ocean)戦略としてとらえられるが、その市場成果はここでのブランド化に よって吸収可能な消費者の数に依存している。
X社は、種々の汎用部品を用いてコンパクトでスタイリッシュなシェル (筐体)仕様にすることにしたが、その際の大幅な費用増を相殺するために、 パソコン用液晶ディスプレイ・メーカーと長期契約を交わし、特定のモデルの 液晶部品を割引価格で調達しようとしている。
X社は競争相手による対応が行われていない未開拓のニーズに着目し、多 機能がコンパクトにビルトインされた小型製品を開発し、象限Ⅱの標的市場 での早期の製品普及後、象限Ⅰの大規模市場からの遷移顧客の獲得を企図し ている。
マップ上の象限Ⅰに位置する企業は象限Ⅱにも参入することが可能であ る。したがって、X社には先発の利益を獲得・維持するための工夫が必要と される。